世界中の魔法使いが憧れる、魔法の先進国アジュナール王国。そこには童話の眠り姫のごとく、長い眠りについている少女がいた。少女の名前はユラシェ。大富豪メディリアス家の末娘で、家族や周囲に愛される、天使と称されるほど美しく心優しい娘だ。
だが、心臓発作で倒れてもう1年もたつのに、どんなに手を尽くしても目覚めない。「最高名誉魔法使い」の称号を持つ偉大なる魔法使いの力をもってしても不可能だった。
しかしある晩、王国の王太子にしてユラシェの婚約者でもあるヨルン王子が不思議な夢を見た。それは、「王城おかかえの若き魔法使い・リオンハールがユラシェに触れれば目を覚ます」というもの。さっそくリオンハールはメリディアス邸に呼ばれるが、リオンハールは自他ともに認める落ちこぼれ。「八流魔法使い」と揶揄されるほどだったのだが…? (そんなボクが、ユラシェお嬢様に触れてもいいなんて…生きてれば人生1回くらい、いいことがあるんだな)ユラシェに密かに恋していたリオンハールはそっと彼女の髪に触れて――。